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Last Update/2012.02.05


◇ ナビゲーターたちの黒い天使核 ◇

「ギアドライバーとナビゲーターの役割は、常に固定されているわけではない」
――『エンゼルギア2nd』エンゼルギアより

 

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■ナビゲーターは“黒い天使核”を持たないのか?
 1stの頃、GF誌9期2号にて、ギアドライバーが“救世主候補”だと語られた直後の一時期。彼らの特別性を補完する案として、ナビゲーターは“黒い天使核”ではなく通常の天使核の保有者ではないか? という説が存在した。
 しかし、その後やはりGF誌の記事などにより、ナビゲーターも“黒い天使核”を持つことが確定している。これは2ndでもきちんと明言されている事実なのだが――。当時より提起された疑問は、まだ解決していない。
 すなわち、プレイヤーキャラクターであるギアドライバー(公式NPCでは、ツバサ、リュンマも該当)たちが“救世主候補”なら、ナビゲーターであるトゥアレタ、伊音、セラピア、メイリィはどうなのか? という事だ。
(なお、凍はさらに特異な存在であるため、ここでは考察の対象としない。紀央とクベルタもまた同様)

■ナビゲーターは“救世主候補”か?
 “黒い天使核”を持っているナビゲーターたちは、ギアドライバーと同じく救世主候補である、と単純に考えることは可能だろう。
 しかし、私はこの仮定に「否(Nein)」と回答する。
 逆説的な物言いになるが、シュネルギアの操縦という意味では、役割を逆転させることもあるギアドライバーとナビゲーターが、何故「パイロット」として一括りにされていないのか? ――その物語上の意味を敷衍した際に、ギアドライバーとナビゲーターという分類が、同じ立場を示していないことは明確なのだ。
 かなり乱暴な表現をすると、“黒い天使核”保有者のうち、「ギアドライバー」と呼ばれるPC≒物語の主人公=“救世主候補”であり、同じく「ナビゲーター」と呼ばれるNPC≒物語のヒロイン≠“救世主候補”なのだろう。
 なお、GF誌9期2号の時点で、アクシアは救世主候補「では無い」ことも明言されているため、“救世主候補”⊆“黒い天使核”保有者は確定している。さらにうがった考え方をすれば、ギアドライバーがナビゲーターになれる以上、ツバサやリュンマがヒロインになる=主人公で無くなる≒救世主候補で無くなるのは、彼女たちがナビゲーターになった時……という予見も可能である。
 すなわちアクシアたいちょーを攻略したければ、ギアドライバーにしたままではダメなのだ(嘘)。

■ナビゲーター≒ヒロイン=介添人?
 では、救世主候補でないナビゲーターたちが“黒い天使核”を持っているのは何故か? ここでは“黒い天使核”の保有/所持者は3種類が存在する、という仮説を提示してみたい。すなわち、

(1)“救世主候補”
(2)“第三の喇叭”以降、(1)以外に副次的に産まれた保有者。
(3)“仮面計画”――人造救世主創造プロジェクトの副産物。“第一の喇叭”以前から“第三の喇叭”までに生み出されたものの保有/所持者。

 である。置き換えるなら、

(1)ギアドライバー
(2)ナビゲーター
(3)アンナ・O(後にアクシアに移植)。ヴィヴリオA。ヴィヴリオAが所持のもの(ヴィヴリオBの“黒い天使核”?)。東雲光子。ゾフィー・V・シャウベルガーが所持のもの(ソコラタの“黒い天使核”?)

 となる。
 このうち(1)についてはGF誌9期2号に詳しいため、ここでは考察を省く。
 (3)も同号で少しだけ触れられた情報からの推測だが、これを考察するには、「エンゼルコア」の登場人物や顛末などから、さらに大きな発想の飛躍が発生するため、別の機会としたい。
 ともあれ(2)である。
 つまり“第三の喇叭”以降、世界各地(それも主に、合衆国天使十字軍の手が及ばない、ヤシマ=統一帝国の領地)にごく少数ながら産まれた“黒い天使核”保有者たちは、救世主候補とそれ以外に分類されるのだ。それがギアドライバーとナビゲーターの本質的な相違なら――。
 「エンゼルギア」という物語において、ギアドライバーを主人公≒英雄に、ナビゲーターをヒロイン≒英雄の介添人と位置づけるのは、さほど反論の出ない見立てと思われる。
 古今東西の英雄物語に於いて、彼らを支え、導き、時に命を掛けても彼らを護ることさえある介添人たち――あるいはボーイミーツガールの後者。ナビゲーターが物語においてそのような存在ならば、彼女たちがヒロインであり、かつ“黒い天使核”を保有する意味づけは充分と云えるだろう。
 あたかもこれを証明するかのように、シュネルギアという決戦兵器は、ギアドライバーだけでもナビゲーターだけでも戦力としては面白いほど使いものにならず、どちらかだけで運用できる実戦的な兵器は、登場すれば確実に天使化の運命が待ち受けている。
 つまり、天使兵と戦うには、戦い続けるには。“救世主候補”だけでもナビゲーターだけでもダメなのだ。
 彼らと彼らを支える介添人が揃って初めて、シュネルギアがまともな戦力となり天使兵と戦える――。逆説的に言えば、その状況を実現するため、ナビゲーターは“黒い天使核”を持つように生み出されたのである。


■“第三の喇叭”の真相――?
 ここで、どうしても疑問に突き当たらざるを得ない。
 何故、“黒い天使核”の持ち主、すなわち“救世主候補”とその介添人たちは、“第三の喇叭”と呼ばれる統一帝国の滅亡前後から生まれているのか?
 アンナ・Oからアクシアが受け継いだ、あるいは1950年代に結晶化したと思われる、ヴィヴリオの所持する“黒い天使核”――。“仮面計画”の産物だろうそれらが、“第三の喇叭”後の黒い天使核と物語上の立場を違えているのは何故か?
 そもそも“第三の喇叭”は、ほんとうに合衆国十字軍が下した鉄槌なのか?

 よくよく考えれば――。
 そもそも、1986年の統一帝国滅亡……すなわち“第三の喇叭”については、驚くほど40年戦役の戦訓が活かされていない。
 1stから引用すると――。

「かの街に集った生き残りの人間戦車乗り、機械化兵はすべて歴戦の猛者であり、天使兵数体ならば撃破できるだけの実力と、そして死を覚悟した者だけが持つ実力以上の力を発揮する意志を持っていた」

 こんな最後の最精鋭たちが、戦力を集中したことが仇になり、一方的に蹂躙される結果に終わった帝都グラズヘイムの二の舞を踏む籠城戦など選ぶはずがない、と考えるのは不自然だろうか?
 如何に天使兵の攻勢が激しかろうと、その裏を突くことで戦線を構築できることは、ヤシマが太平洋戦線で実践してみせたことである。また、統一帝国滅亡後も、ゲリラ戦で“緑の聖母”は戦いを継続しえた。
 であれば、貴重な戦力たる銀十字軍の生き残り――それこそ単身で天使兵数体を撃破しうる精鋭中の精鋭、最強の敗残兵たちが、戦訓を度外視して“連邦”西端の小さな街に結集したのは、単に絶望から最後の決戦を望んだ故なのか――?

 私は、この考えに断固として否(Nein)と答える。

 彼らは絶望して戦いを挑んだのではない。
 未来に希望を繋ぐため、捨て石となる覚悟を以って、かの街に集ったのだ。
 “第三の喇叭”以降、救世主候補たるギアドライバーたちが産まれ、介添人たるナビゲーターたちが産まれたのは偶然ではない。
 彼らがかの地に集ったからこそなのだ、と。

 ここで鍵となるのは、セラピアの母親であるエクリシアが、かの時彼の地へ姿を見せたと思われること(GF誌9期1号の記事で、この事件以降、消息を絶ったという記述があることから確度は高い)。そして――“第一の喇叭”により、救世主の黒い天使核とされる黒い巨石(シュヴァルツ・メガグレイス)が、ノルトラントから失われたという事実である。
 仮に、ではあるが。
 ノルトラントから失われた黒い巨石が、彼の地にて再び発見(もしくは密かに搬入)されたとしたら? 絶望的な40年戦役に終止符を打つため、“仮面計画”の再現が行なわれたとしたら? “第三の喇叭”はまさしく“第一の喇叭”の再現であり、それが成功であったか失敗であったか、統一帝国の意図したものか合衆国天使十字軍の鉄槌だったかはともかく、結果として“黒い天使核”を持つ救世主候補(ギアドライバー)たち、その介添人(ナビゲーター)たちが産み出されることになったのだとしたら。

 ギアドライバーの持つ“黒い天使核”こそ、黒い巨石の陶片(シャード)であり、またナビゲーターの持つ“黒い天使核”も、それに等しきものである――と、考えることはできないだろうか?
 彼ら彼女らは、まさに“第三の喇叭”により産み出されし者である――。
 そして、その視点に立った時。
 ナビゲーターたちもまた、救世主候補たるギアドライバーに匹敵しうる存在者であることに気付くのだ。


記:2007.03.01
2ndの設定に対応:2009.06.27


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠