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Last Update/2012.02.05


◇ ナビゲーター専用オーギュメント考察 ◇

「対応するキャラクターのダーザインを昇華しなければ使用できない」
――『エンゼルギア2nd』専用オーギュメントデータより

 

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■オーギュメントとセフィロトの樹
 神学、あるいはエンゼルギアのモチーフの1つ「新世紀エヴァンゲリオン」などに詳しい方は既にお気づきと思うが、「エンゼルギア2nd」において、プレイヤーキャラクター、そしてナビゲーターたちが持つ存在証明(ダーザイン)による偉業を成す力『オーギュメント』には、カバラ神秘学の象徴とも云えるセフィロトの樹を構成する、10種類のセフィラの名称が与えられている。
(余談だが、ケテルなど各セフィラの名称は『アリアンロッド』では古竜の名前に使われるなど、FEAR作品に限らずおなじみの要素の1つでもある)

 セフィロトの樹についてはウィキペディア等に説明を譲るとして、そのセフィラとオーギュメント、守護天使を表にすると、次のようになる。

No. セフィラ(意味) 対応クラス 守護天使
ケテル(王冠) ギアドライバー メタトロン
コクマー(知恵) オフィーツィア ラツィエル
ビナー(理解) シンガー ザフキエル
ケセド(慈悲) ツィヴィール ザドキエル
ゲブラー(神の力) ガンスリンガー カマエル
ティファレト(美) アーティラリー ミカエル
ネツァク(勝利) ウィザード ハニエル
ホド(栄光) サムライ ラファエル
イェソド(基盤) ミーディアム ガブリエル
10 マルクト(王国) ソルジャー サンダルフォン

※守護天使で諸説あるものは、管理人が1つ選択した

 また、例外であるホムンクルスの《アツィルト》だが、これもセフィロトの樹が存在する4世界の最上位階を示す言葉であり、やはりカバラ神秘学に基づいたオーギュメントとなっている。
 こうして見ると、「エンゼルギア2nd」において11のクラスと4人のナビゲーターに、さまざまな神秘学的側面が浮き彫りになってくるのでなかなか面白い。対天使戦闘において、ケテル(王冠)であるギアドライバーの守護天使がメタトロンであるなど、最高のシチュエーションではないだろうか?

 ――さて、勘の良い方はもうお分かりだろう。
 ナビゲーター4人娘のうち、クラス:アーティラリーに掲載されているトゥアレタは《ティファレト》ではなく《ミカエル》を、クラス:サムライに掲載されている伊音は《ホド》の代わりに《ラファエル》を使用するのだ。
 つまり、ナビゲーターたちの専用オーギュメントは、彼女らが象徴するクラスと密接に関わっている可能性が大きいことが説明できる。


■ガブリエルとエヴァ
 ただ、これだけではまだ弱い。
 クラス:ガンスリンガーに掲載された凍は、《カマエル》ではなく《エヴァ》を使用する。また、《ガブリエル》を使用するセラピアは、何故かクラス紹介のどこにもイラストが載っていない。ガブリエルが守護するセフィラである《イェソド》をオーギュメントとして使用するクラスはミーディアムだが、掲載されているイラストは、セラピアではなく紀央である。
 しかし、理屈付けをすることは可能だろう。
 まず、いまのところ幻となったパソコンゲーム版のタイトルヒロインであった凍が、2ndにおいてその系譜を正しく証明するために、セフィロトの行きつく先、神人たるアダム・カドモンの対となる女性として《エヴァ》を与えられたのは想像に難くない。実際、《エヴァ》は他のオーギュメントに比べても強力な効果を持っており、[福音]を鳴らす大いなる助力であることは疑いない。
 また《ガブリエル》についても、セラピアの神秘性を隠蔽する、あるいは、ミーディアムというクラスをより分かりやすく説明するために紀央が起用されたと考えれば、そう不自然ではない(ルールブックp134に踊るセラピアが掲載されていた時の不思議具合を想像していただきたい)。
 何より、セラピアがミーディアム的な能力を持っていることは、1stから彼女が持つ異様な『勘』でも説明が可能であり、また2ndでは【聖霊】に修正をもたらすナビゲーターであることからも予測できることだろう。

■新たな専用オーギュメント
 こうして見ると、専用オーギュメントは、基本的にセフィロトの樹から採れる禁断の果実的な側面を持ち、今後追加されるだろうものについても、ある程度の予測を立てることが可能である。
 そのパターンは、大きく分けて4つほど考えられる。

(1)セフィラと守護天使
 《メタトロン》《カマエル》《ザドキエル》といった名だたる天使については、いずれ専用オーギュメントとしての登場が大いに期待される。
 一部の天使については、既に敵として登場しているが、だからこその皮肉、あるいは敵側のヒロインが所持している可能性も見過ごせない。
 とりあえず当研究所としては、クラス:ツィヴィールに掲載されているタン・メイリィの専用オーギュメントに《ザドキエル》を推しておきたいところである。
 また、セフィロトの樹には、10のセフィラの他にもう1つ、隠れたセフィラが存在する。この《ダアト》もまた専用オーギュメントの有力な候補だろう。当研究所としては、「知識」を意味する隠されしダアトは、司鏡紀央の専用オーギュメントに推したいところである。
 さらに、ガンスリンガーに掲載されている凍が《エヴァ》を持つため浮いている《カマエル》だが、これは1stで凍と同じ【感覚】+3修正を持っていたナビゲーター、T−Xが持つに相応しいのではないだろうか?

(2)セフィラを結ぶ、パスの名称
 セフィロトの樹では、例えば、ケテルからコクマー、ビナー、ティファレトに伸びている道に、それぞれ《アレフ》《ベート》《ギーメル》といった名前が付いている。
 これらもまた、専用オーギュメントの候補として見つくろう事は可能だろう。
 問題は22個存在するため、全てを使うと流石にワケの分からない状況になってくることだろうか。それに、あまり数が増えると「専用」のありがたみが薄れるのも難点である。

(3)セフィロトの樹が存在する世界
 セフィロトの樹が存在する4つの世界位階は、《アツィルト》を最上位として、《ブリアー》《イェツラー》《アッシャー》と続く。
 これらはホムンクルスに《アツィルト》が割り当てられたことから推測すると、今後、サプリメント等で追加クラスのオーギュメントに選ばれる可能性が高い。
 ――と、思いきや。GF誌14期1号で《アッシャー》がソルジャーの追加オーギュメントとして設定された。世界位階の最上位が完全機械化兵、最下位が機械化兵に割り振られるとは、何とも物悲しいものである。

(4)セフィロトの樹に拠らない専用オーギュメント
 これについては、次で述べる。


■セフィロトの樹に拠らない専用オーギュメント
 ここまでは、カバラ神秘学やセフィロトの樹について、ちょっと調べれば見えてくることなのだが、エンゼルギア2ndの基本ルールブックには、この他の専用オーギュメントとして、《ナヘル》と《フラーテ》(厳密に考えれば《エヴァ》も)が存在する。
 この2つの起源は、まずセフィロトの樹では無いと思われる。これについては後述するが、ここでは《ナヘル》と《フラーテ》の存在が、オーギュメントをセフィロトの樹に依存しないという宣言※01であることに着目したい。そうなると選択の幅も広がってくる。
 まず、単純に思いつくのが《エヴァ》に対する《アダム》だが、これはもうキャンペーンの最終話で凍をナビにしているギアドライバーが取らなくてどうする! というモノなので置いておく。

 よって、最右翼としては四大天使の最後の1人、《ウリエル》だろうか。
 実のところ、「エンゼルギア2nd」の発売まで、私はナビゲーター=救世主候補の介添人=大天使(の、力を持つ者)という説を考えており、ありがちな配役とは思いつつ、その中では凍=ミカエル、トゥアレタ=ラファエル、伊音=ウリエル、セラピア=ガブリエル、と想定していた。
 2ndの発売時に彼女たちの専用オーギュメントを見た時、やや違和感を感じたものだが、それがセフィロトの樹を基に構築されたと理解して納得した現在――。逆に《ウリエル》を誰が持つのかが非常に興味深い。
 おそらく、公式でナビゲーターと宣言されている最後の1人。かつ1999年の瑞穂基地というセフィロトの樹(世界)の外側から来た存在でもある、クベルタ10-9が持つ専用オーギュメント。それがまさに、《ウリエル》ではないか……と予言してみたい。
 これが当たるのかどうか、今後の2ndの展開を楽しみに待ちたいと思う。


■特殊オーギュメント考察
 20090820版のエラッタにより、《ナヘル》と《フラーテ》は、専用オーギュメントを持たないナビゲーターから提供されると定義された。また、GF誌14期1号では、同様に提供される特殊オーギュメントとして、《ピソン》と《ヒディケル》が追加されている。
 これらがセフィロトの樹にも天使の名にも由来しないことは前述の通りだが、やはり聖書あるいはカバラ神秘学に由来していることは推測できる。
 そこで、この研究所の掲示板などで情報を募ったり※02、書籍や辞書などを調査した結果としては、次のようなものとなった。これが正解か外れであるかは分からないが、当たらずとも遠からずとは言えるだろう。

《ナヘル》
 直接的な表記としては、ドイツ語のnaherがもっとも近いと思われる。
 発音としては「ネーアー」。意味は「より近い」または「より詳しい」。
 ちなみにnahelと書くと「ネェル」で、これは機動戦士ガンダムZZなどの主人公艦ネェル・アーガマで有名。ネェルも「近いもの」という意味であるらしく、辻褄は合う。……しかしネェル自体がどこの言葉かは良く分からない(アラビア語っぽい?)。案外、naherがnahelと誤記されたのが広まっている可能性もあるかも知れない。
 どちらにしろ、このオーギュメントは他のオーギュメントや権能を打ち消す万能さを以て、より神に近しい力を意味すると考えるのは可能だろう。
 参考までに、同じく井上純弌が手掛ける「アルシャード」RPGシリーズで同様の効果を持つ加護たる《オーディン》は、北欧神話の主神であることも付け加えておきたい。

《フラーテ》
 イタリア語で「兄弟」または「修道士」を示すfrateがそのまま読める。
 何故この言葉がオーギュメントの名称に選ばれているかは定かでないが、“救世主”候補であるギアドライバー、あるいは彼らを支えるケルン使いを暗喩する言葉なのかも知れない。

《ピソン》
 創世記第2章、エデンの園に流れる河から分かたれた4つの支流の1つ。ハビラ地方(アラビア半島)を流れていたとされる。

《ヒディケル》
 創世記第2章、エデンの園に流れる河から分かたれた4つの支流の1つ。現在のチグリス川(古代ヘブライ語名でHiddekel)とされる。

 こうして並べると、基本ルールブックの2つと、追加された2つとでグループ化されているように見える。……だが、多少の牽強付会をすれば、《ナヘル》と《フラーテ》を、聖書におけるエデンの園から分かたれた、4つの支流に含めることも可能である。
 まず、創世記第2章における残り2つの川は「ギホン」「ユフラテ」となっている。このうちユフラテはいわゆるユーフラテス川を示すが、これのアラビア語読みは「フラート」。これを転じて《フラーテ》と見立てる。
 次に「ギホン」についてはこじつけようが無いように思えるが、これの流れるクシュ地方はナイル川流域とする説があり、この「ナイル」を転じて《ナヘル》と見立てる。
 あるいは《ナヘル》そのものを、ヘブライ語の「河」を意味する「ナハル」から転じたと取ることもできるだろう。この場合は、エデンの園に流れる河そのものを示すこととなり、ピソン、ヒディケル、ギホン、フラーテがこれを取り巻く形に落ち付くとも考えられる。
 もはや某MMRも真っ青な強引ぶりに、我ながら苦笑を禁じ得ないが、他の追加オーギュメントがヨハネの黙示録が送られた7つの教会の名前や、イスラエルの十二支族の名称を冠していることから逆算すれば、《ナヘル》と《フラーテ》もこれらに類するものと考える方が自然だろう。
 今後、《ギホン》と《ユフラテ》が共に追加されれば、このトンデモ説は眉唾ものだと証明されるのだが、それはもう少し待ってみても良さそうである。


記:2009.05.02
GF誌14期1号に対応:2009.12.10


※01 事実、GF誌14期1号で追加されたオーギュメントは、セフィロトの樹に拠らないものがほとんどだった。これについての考察は別項を参照。

※02 AGLAさん、蓮野さんより情報提供がありました。感謝。


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠