■特殊オーギュメント考察
20090820版のエラッタにより、《ナヘル》と《フラーテ》は、専用オーギュメントを持たないナビゲーターから提供されると定義された。また、GF誌14期1号では、同様に提供される特殊オーギュメントとして、《ピソン》と《ヒディケル》が追加されている。
これらがセフィロトの樹にも天使の名にも由来しないことは前述の通りだが、やはり聖書あるいはカバラ神秘学に由来していることは推測できる。
そこで、この研究所の掲示板などで情報を募ったり※02、書籍や辞書などを調査した結果としては、次のようなものとなった。これが正解か外れであるかは分からないが、当たらずとも遠からずとは言えるだろう。《ナヘル》
直接的な表記としては、ドイツ語のnaherがもっとも近いと思われる。
発音としては「ネーアー」。意味は「より近い」または「より詳しい」。
ちなみにnahelと書くと「ネェル」で、これは機動戦士ガンダムZZなどの主人公艦ネェル・アーガマで有名。ネェルも「近いもの」という意味であるらしく、辻褄は合う。……しかしネェル自体がどこの言葉かは良く分からない(アラビア語っぽい?)。案外、naherがnahelと誤記されたのが広まっている可能性もあるかも知れない。
どちらにしろ、このオーギュメントは他のオーギュメントや権能を打ち消す万能さを以て、より神に近しい力を意味すると考えるのは可能だろう。
参考までに、同じく井上純弌が手掛ける「アルシャード」RPGシリーズで同様の効果を持つ加護たる《オーディン》は、北欧神話の主神であることも付け加えておきたい。
《フラーテ》
イタリア語で「兄弟」または「修道士」を示すfrateがそのまま読める。
何故この言葉がオーギュメントの名称に選ばれているかは定かでないが、“救世主”候補であるギアドライバー、あるいは彼らを支えるケルン使いを暗喩する言葉なのかも知れない。
《ピソン》
創世記第2章、エデンの園に流れる河から分かたれた4つの支流の1つ。ハビラ地方(アラビア半島)を流れていたとされる。
《ヒディケル》
創世記第2章、エデンの園に流れる河から分かたれた4つの支流の1つ。現在のチグリス川(古代ヘブライ語名でHiddekel)とされる。
こうして並べると、基本ルールブックの2つと、追加された2つとでグループ化されているように見える。……だが、多少の牽強付会をすれば、《ナヘル》と《フラーテ》を、聖書におけるエデンの園から分かたれた、4つの支流に含めることも可能である。
まず、創世記第2章における残り2つの川は「ギホン」「ユフラテ」となっている。このうちユフラテはいわゆるユーフラテス川を示すが、これのアラビア語読みは「フラート」。これを転じて《フラーテ》と見立てる。
次に「ギホン」についてはこじつけようが無いように思えるが、これの流れるクシュ地方はナイル川流域とする説があり、この「ナイル」を転じて《ナヘル》と見立てる。
あるいは《ナヘル》そのものを、ヘブライ語の「河」を意味する「ナハル」から転じたと取ることもできるだろう。この場合は、エデンの園に流れる河そのものを示すこととなり、ピソン、ヒディケル、ギホン、フラーテがこれを取り巻く形に落ち付くとも考えられる。
もはや某MMRも真っ青な強引ぶりに、我ながら苦笑を禁じ得ないが、他の追加オーギュメントがヨハネの黙示録が送られた7つの教会の名前や、イスラエルの十二支族の名称を冠していることから逆算すれば、《ナヘル》と《フラーテ》もこれらに類するものと考える方が自然だろう。
今後、《ギホン》と《ユフラテ》が共に追加されれば、このトンデモ説は眉唾ものだと証明されるのだが、それはもう少し待ってみても良さそうである。 |