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裁判所、

今日は法廷に出る日で、

民事の法廷は、いわゆる世間的に周知されているような
刑事の法廷とは、いささか毛色が違う、

もちろん、正面に裁判官の席があり、
左右に両当事者がすわるという基本的な配置はかわらず、

部屋としての法廷は、あまり刑事とはかわらない。


ただ、いわゆる単純な裁かれるべき被告人はおらず、
「原告」と「被告」の双方の応酬がなされるだけ、

応酬と言ったところで、
基本的に書面で処理されるため、

たぶん、傍聴に来ても何がなんだかわからない。


1回目の弁論の場合、
原告側があらかじめ相手方に送ってある訴状を陳述する。

陳述といっても、裁判官が、

「訴状を陳述ということにします。」

というだけ。

相手方の被告としては、
訴状に書いてある原告の主張=裁判の主眼、を
認めるか認めないかを記した答弁書を、
また同様に提出して、陳述したことにする。


基本的に10分もかからない。


だからスケジュール表である開廷表にも、
たとえば、

10:00 H9 ワ100 損害賠償  原告 A ……
10:00 H10タ 34 離婚等   原告 B ……
10:00 H10ワ231 建物明渡等 原告 C …
10:15 H8 ワ199 貸金    ……

などと、同じ時間にいっぱい入っていたりする。

上のだと、3件は合わせて15分くらいで終わる予定で、
実際には、当事者が揃った事件から5分づつくらいで、
さっさと進んでいく、


代理人である弁護士も、裁判所に来たと言っても、
ものの5分で帰っていく、

裁判所に来る時間より短いのはもちろん、
待ち時間より短い、


これは、通常の期日の話で、
判決になると、両当事者の出席は義務でもなんでもないので、

だれも当事者がいないところで、判決が言い渡される。


仮にいたとしても、

「ゲンコクノセイキュウヲキキャクスル、
 ソショウヒヨウハゲンコクノフタントスル、」

と、蕩々と抑揚なく告げられ、
理由とかは、ばっさり省略されるので、

法律に詳しめのヒトでないと、
勝ったんだか負けたんだかも、わからんかもしれない。


証拠調べ、というなかなか裁判らしい手続きもあるが、
書面なんかだと、

「甲○○号証から××号証まで、提出ということで」

と、またあっという間に終わる。


もちろん、時間がかかるのもある。
証人尋問とか、当事者本人の尋問、

これは、法廷で1時間とか、
長いと主尋問・反対尋問で2時間半で終わらない、とか

しっかり時間をとるのだが、


ヒトの尋問は、書面なんかがすべて出された後でするので、
基本的に事件のスジが見えてきたころにすることになる。

そこで、いままでのあまりに淡泊な裁判に
憤りを覚えているらしい当事者が、
あまりホンスジとは関係ないところの話を延々とする、


離婚事件などは、

「○○が食べたいのに作ってくれなかったー、」

とか、

「辛抱をし続けてきたのが、大間違いだった」

とか、

「家に稼ぎをほとんど入れずに、飲み歩いてばかりいた」

とかを、

妙に臨場感ある話として、聞かされることになる。


結婚が人生の墓場のように、
一世一代の不覚のように、
身勝手と身勝手が同じ屋根の下、というように、

聞いてる方が、
ハンカチのすみを口にくわえて、思い切り
引っ張りたくなるような、


かくして、
妙に淡泊な時間と、生々しく間延びした時間が過ぎ、



今日も、法廷が終わりの時間を、


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