エンゼルギア研究所
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Last Update/2012.02.05


◇ 表紙考察 その2 ◇

「多くの人はルールが最初だと思っているけど、実際は表紙」
――『井上純弌の地平』より

 

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■はじめに
 この記事は、GF誌13期3号に掲載された「エンゼルギア2nd」の告知記事で使われたカラーイラストを基に予想を含んで書かれたものである。その後発表されたルールブックの内容と比較して、合っている記述も間違っていた記述もある。
 そこで、現在のこの記事は、注釈と答え合わせを付している。併せてご覧いただければ幸いである。

 表題の一文にもあるように、エンゼルギアの原作者である井上純弌は、ルールブックの表紙についても非常にこだわりを持っている。今回は、その視点から「エンゼルギア」と「エンゼルギア2nd」の表紙絵を比較し、考察することで、第2版に生まれ変わるエンゼルギアの変遷を予測してみたい。
 なお、考察の基礎資料にはエンゼルギアのルールブックそのものと、GF誌13期3号に掲載されたカラー&モノクロイラストを使用している。特に、カラーで見て新たに判明したことや、ロゴの位置が変わったことで見えたことも多いため、前回の記事にこれらを含めた改訂・追補版として読んでいただければ幸いである。

資料1:エンゼルギア1st表紙

資料2:エンゼルギア2nd表紙


■1stから2ndへ
 これは、実に分かりやすい変化が起こっている。
 主役メカであるシュネルギアが、「エンゼルギア」では背景に1機、「2nd」では2機存在するのだ。まさに1から2への変化という、誰にも分かるメッセージが込められた、明快な配置である。
 どちらの表紙でも中央に位置する機体は、パソコンゲーム版のタイトルヒロインとされる凍がナビゲーターを務める2番機:シュトルムで間違いないだろう※01。肩アーマーの形状や装備、雪色とライトヴァイオレットを基調としたカラーリングは、まず同一の機体と見てとれる。
 「2nd」で左側に追加された1機だが、独特な肩アーマーと追加装備はこれまでに無いものであり、判断しづらい。しかし、エメラルドグリーンのカラーリングは「エンゼルギア」では見られなかった配色であり、あくまで推測ながらトゥアレタがナビゲーターを務める4番機:イェーガーである可能性が高い※02
 肩の追加武装は意外に厚みがあり、これが開いて大量のミサイルをばら撒くのは如何にもありそうである。
 同じく肩アーマーの形状が異なる機体には、砲戦仕様のカノーネも存在するが、2ndの表紙を飾るこの機体は、カノーネと異なり後背翼の形状がシュトルムなどの機体と共通であることからも、やはり同時期に開発されたと思われるイェーガーではないだろうか。
 なお、追加要素とされる歌姫の存在を考えると、肩のそれは音響兵器であり、全く新規の機体とも考えられる。

■神楽・K・ガイストの追加
 これも非常に分かりやすい変化である。
 「エンゼルギア」の表紙では、影も形も見えなかったパソコンゲーム版の主人公(かつ、公式NPCでは唯一の男性ギアドライバー)である神楽・K・ガイストが中央に追加されたのだ。
 単純に考えれば、パソコンゲーム版から「2nd」に原作が変わり、重要NPCとして神楽が登場する※03ことを明示した――とは云えるが、本来のタイトルヒロインであった凍の姿に被るような配置は、TRPG的には非常に邪魔である。
 にも関わらず彼が表紙に登場しているのは、これまでのナビゲーターとは違った役割――公式NPCでは唯一の男性ギアドライバーであるがゆえかも知れない。
 ナビゲーターが追加クラスとして設定された※04場合、PCが組むデフォルトの相手として想定されたのが神楽と考えるなら、この配置はかなり納得がいく。もちろん背中を預かる凍との主人公−ヒロイン関係の暗示とも見えるのだが、TRPGの表紙と考えれば、邪推の域というものだ。

■セラピア・パルマコンの追加
 ……彼女が「エンゼルギア」の表紙に居なかった理由は不明瞭である。おそらく発売時期ではまだ物語上の役割が定まり切っていなかったからだろう。
 そう推測できるのは、「エンゼルギア」のNPC紹介において、彼女の立ち絵だけが企画途中のラフ画であり、制服もクリンナップ途中の古いバージョンそのままだったことが、いちおうの根拠である。
 しかし5年の月日を経て、セラピアはエンゼルギアという物語の中で、確固たる立ち位置と役割を獲得できた。そうなれば表紙に大きく登場するのは、むしろ自然な流れである。
 また、彼女の扱いの大きさは、TRPG版のタイトルヒロインとして、これまで多くの公式シナリオで取り上げられてきた結果とも言える。……思うに、公式シナリオでタイトルヒロインを多く務める娘が表紙に居ない「エンゼルギア」も奇妙といえば奇妙なゲームであった。
 なお、神楽とセラピアは同じシュネルギアの操縦席から立ちあがるような描かれ方をしている。このことからも、彼女が引き続きTRPG版のタイトルヒロインを務めることは想像に難くない※05

■新たな? ヒロインの登場
 これまでとは一線を画し、軍服では無くひらひらのドレスを身に纏い、銃では無くマイクを持った少女が大きく追加されている。ガジェットに加えて背景のエフェクトからも歌手であることは見て取れるため、追加要素とされる歌姫を象徴するのが彼女なのだろう。
(歌姫なのは、GF誌13期1号の井上純弌のイラストレーターサイン色紙で目線を引いた初音●クになっていることからも、たぶん間違いないと思われる)
 なお、モノクロではエルフ耳にも見えていた部分だが、カラーイラストではオレンジ色のコーンクリスタル形状をしたパーツと判明した。これが何を意味するかはまだ不明だが、まったくの想像を承知で書けば、戦場を流れる天使の歌を聞きとるエーテル・ヘッドホンのようなものではないだろうか?
 天使の声を聞き、天使に歌を聴かせることで彼女が果たす役割――。それは既にこのイラストで描かれている。彼女の真下に配置された、瞑目するかのような天使たちの顔。これは支配するものとされるものの位置を示すと共に、天使たちが歌に支配(ドミネイト)されることを現しているのかも知れない※06
 果たして彼女の持つマイクは、天使を統べる喇叭となるのだろうか――。さらに想像の翼を広げるなら、このキャラクターは「エンゼルギア」にも登場したとあるキャラクターが大いなる羽化を遂げた姿ではないかとも思える。これについては、後述としたい。

■その他の追加キャラクター
 左奥に、対戦車ライフルのような長銃を持った天野ツバサと、塹壕から顔を覗かせる中島茜の姿が確認できる。また、それに伴って戦車と思われるメカも登場。
 右奥には、天使兵と思える、エンゼルハイロウを浮かべた瞑目する顔が3つ確認できる。天使兵自体は「エンゼルギア」にも3体存在したが、周囲を飛ぶのが鳥だと考えても、その巨大さが見て取れるようになった。
 なお、注意すべきはこの天野ツバサ、きれいなツバサである。何と本人が嫌っているはずの瑞穂中学校特務クラスのブレザーを着用しているのだ。いったいどんな心境の変化が彼女に起こったのか。待て2nd、である※07

■凍、トゥアレタのコスチュームの変更
 「エンゼルギア」から継続して表紙に登場するキャラクターのうち、凍とトゥアレタはそれぞれコスチュームを入れ替える形で変更されている。凍が学生服からパイロットスーツになり、トゥアレタはその逆。「2nd」では中央にパイロットスーツ姿の凍、神楽、セラピアが集まる形となっており、よりロボットものらしさが強調された。

■武装の追加
 「2nd」では、表紙に登場するキャラクターで、手が確認できる全員が何らかの武器を携えている。もちろん歌姫も自身にとっての武器を持っていることに変わりは無い。
(例外は、ヘルメットを手で押さえている茜くらいだろうか?)
 凍がアサルトライフル、伊音がヤシマ刀なのは「エンゼルギア」から変わらないが、セラピアとトゥアレタはそれぞれ拳銃を、神楽はサブマシンガン、背景のツバサは対戦車ライフルっぽいものを装備。これによって「少年少女の戦争」というシチュエーションがより強調されたと言えるだろう。
 それにしても、何らかの強化が施されているだろう凍がゴツいアサルトライフルを持つのはともかく、あんな長物をブン回せる天野ツバサとは何者なのだろうか。まさに天才おそるべしである。

■構造物の追加
 モノクロでは、歌姫のドレスの裾に見えた部分だが、カラーイラストで、それが弾痕も生々しい構造物の破端であることが分かった。
 普通に考えれば瓦礫の一部にも見えるものであり、左奥に描かれたツバサや茜、戦車などの風景にマッチしているように見える。
 しかし、これが神楽とセラピアが立ち上がろうとしている、シュネルギアの操縦席を覆う装甲の残骸と見た場合、話は大きく違ってくる。そこから見えてくるのはシュネルギアを失ってなお戦おうとする少年少女たちの意志であり、ヤシマ=統一帝国がそこまで追い詰められている可能性をも示唆する……のかも知れない。
 また、天使兵の圧倒的な戦闘能力からすると、この程度に破壊された装甲は逆に不自然である。弾痕も人間の手持ち火器から受けたものに見えることから、最終的な敵はやはり天使兵では無く、人間という事なのだろうか。

■削除されたものたち
 一番の変更点は、パソコンゲーム版エンゼルギアの前作である「エンゼルコア」の重要人物だったアラフニが削除されたことだろう。これは、PCゲーム(の、続編企画)を原作としていた「エンゼルギア」が、その軛から解放されたことを暗喩しているようでなかなか興味深い。
 また、セラピアと歌姫の追加に押し出されるように、統一帝国の一般兵士が3人から1人に、また空を飛んでいた戦闘機も姿を消した。
 これは、空戦がメインであった「エンゼルギア」の主戦場が地上に移ることを意味しているのだろうか? あるいは機械化兵の地位が相対的に下がったりするのだろうか※08? さすがにそれはあり得ないと思われるが……。

■変わらないもの・その1
 蒼い蒼い夏の空。そしてヴィヴリオ大佐は「2nd」でも変わらない。だが、ヴィヴリオは「エンゼルギア」の表紙でアラフニが示していた構図を受け継ぎ、かつ位置取りも上がってシュネルギアと肩を並べるなど、エンゼルギアという物語の中に占める重要度は大きく増していると推測される。
 あるいは、アラフニの後継者こそ正しくヴィヴリオであることが暗示されているのかも知れない。しかし彼女の表情は実に頼もしく、「2nd」の表紙を飾る皆を優しく見守っているように見える。このことは「エンゼルギア」の表紙から変わらぬヴィヴリオのスタンスであり、かつて似たような位置に居たアラフニのそれとは、大きく異なっている部分でもある。

 また、シュネルギアの操縦席も引き続き登場。
 こちらもトゥアレタ1人から神楽&セラピアのペアとなり、副座式であることが明快になると共に、1から2への変化も印象付けられた。だが、「エンゼルギア」では操縦席に座るトゥアレタという構図が、「2nd」では操縦席から武器を取って立ち上がる神楽とセラピアという構図に変更されている。
 これは、良くも悪くもシュネルギアという新型兵器を中心として動いていた1stから、主人公である救世主候補(ギアドライバー)たちに物語の焦点が移されるという啓示※09だろうか。それとも……。


■変わらないもの・その2
 劇中での重要人物であるアクシア、羽村、クベルタらは、やはり表紙に登場しない。また、少年少女のシュネルギア乗りでリュンマだけが表紙に登場しない理由も不明のままである。
 アクシアや羽村が表紙に出てこない理由は、嫌でも目立つ大人NPCであることや、キャラクターが多くなりすぎて収集がつかなくなるなど筋の通ったものが考えられるが、ツバサが居てリュンマが居ない理由、神楽が居てクベルタが居ない理由は……単にスペースの問題と思っておくのが無難だろうか。

■完全機械化兵の台頭?
 この項目は完全な妄想なので、読みとばして何ら差し支えない。むしろ真面目に捉えないよう注意すること。

 2ndの表紙で興味深いのは、歌姫とヴィヴリオの関係性である。彼女たちはヴィヴリオ−歌姫−天使兵の順番で縦に並べられているが、よくよく見ると歌姫とヴィヴリオの髪の色、瞳の色は同じように見えなくもない。
 エンゼルギア世界におけるヴィヴリオの血縁は、「エンゼルコア」の登場人物であり、双子とも言えるヴィヴリオBが有名だが、彼女がアラフニのクローンであることを考えると、その娘であるエクリシア、孫娘であるセラピアとも血縁があると言える。
 実際に、2ndの表紙イラストのヴィヴリオとセラピアの瞳の色も、親戚と言って違和感が無い程度に良く似ているが、実はもう1人、「エンゼルギア」にはヴィヴリオと関係性の強い登場人物が存在する。

 そう、彼女の名は――リメッツェ9−11※10。完全機械化兵である。

 GF誌11期6号の記事において、ヴィヴリオとの関係性が示唆されたリメッツェだが、彼女がヴィヴリオに似ているのは、エーテルや天使核に馴染む身体組成の情報が、純血の天使のコピーであるヴィヴリオを基本として構成されたからだと推測できる。
 そもそもクローン生産を前提としている完全機械化兵と、純血の天使をコピーする目的でクローン生成されたヴィヴリオとは、存在の意義が根底で共通しており、相性がいい。2人ともヒトならざる器から産み出された人工生命体だが――。ここで、GF誌13期1号のイラストレーター色紙において、表紙パロディとなった井上純弌先生のそれに描かれた初音●クを演繹することができるのだ。
 すなわち人工機械の歌姫であるボーカロイドに模されたこの歌姫もまた、人工機械生命体であり、エンゼルギア世界において歌って踊れる人工機械生命体は、完全機械化兵を置いて他に無い。
 そして、現在のところクベルタ以外に公式で設定された完全機械化兵は、(公式NPCのリユースであるT−Xをイレギュラーな存在として除外すれば)リメッツェ9−11だけなのである。
 誰もが目を疑うだろう、完全機械化兵の新たな地平――。銃をマイクに変え、対天使徹甲弾を歌に換えて天使を打倒する完全機械化兵。これはシュネルギア乗りである少年少女たちにとって看過しえない最大のライバルとなり、これまでいま一つ存在感に欠けていた完全機械化兵を、大きくクローズアップする革新の扉となるのかも知れない。
 こう考えると、彼女の服装も、額のパーツも如何にも完全機械化兵っぽく見えて来るから不思議である。


■草薙伊音
 「エンゼルギア」の表紙では大きく描かれていた彼女だが、今回はぐっと控え目な大きさで、シュトルムの襟元に立っている。これによって、タイトルロゴの配置次第で見えなくなるという、ヤシマ撫子の奥ゆかしさを示すと共に、シュネルギアと人間の大きさ比較という大役をも果たしたと言えるだろう。
 さらに、彼女のポジションは何気にヒロインたちの中では頭一つ上の立ち位置を現している……現しているといいなあ。
(階級の設定は変わっていない、という解釈が無難だろうか。伊音はナビゲーター4人娘で一人だけ中尉だったが、2ndでもそれは踏襲されている※11と思われる)

記:2009.03.05
参考として各表紙を追加:2009.04.23
答え合わせを追加:2009.10.02


■答え合わせ(ブラウザの戻るボタンで戻ってください)
※01 シュネルギア:シュトルムの機体イラストとも合っており、もちろん正解。しかし、何故シュトルムの肩に伊音が乗っているのだろうか……?

※02 正解はシュネルギア:カノーネ。1st時代から考えると異例の大出世となった。逆にイェーガーのファンには切ない結果である。

※03 何と神楽は登場せず、彼の妹である雛子・K・ガイストがパーソナリティズに登場。彼女の異父兄(姉)はPCであるとされ、神楽はTRPG版には存在しない――ということだろうか。

※04 残念ながら、基本ルールブックではPCの選択できるクラスに「ナビゲーター」は存在しない。もちろんギアドライバーで代用は可能だろう。

※05 ところがどっこい。基本ルールブックの付属シナリオは、1話目、2話目とも凍がメインヒロイン。しかも凄い裏設定まで書いてあるサービスぶりである。

※06 シンガーの支配(ドミネイト)ぶりは、一言一句文字通り予想的中という珍しい例。ついにはシュネルギア無しで天使兵のケルンを剥ぎ取れるという凄まじい存在になってしまった。

※07 ツバサのパーソナリティズでの紹介イラストは私服。ガッデム!

※08 地上戦主体のシュネルギアは登場したし、機械化兵は<回避>や<白兵>に《リミッター解除》できなくなって弱体化した。なんてこった!

※09 凍やトゥアレタの意外な裏設定が惜しげも無く(シナリオとして)公開されているあたり、そういう傾向と言えるかも知れない。

※10 残念ながらリメッツェと言い張るには、胸囲度の違いから困難という結論に達している。むしろ今ならクベルタと言われたら納得できるかも知れない。
待てサプリ! である。

※11 伊音の階級は、中尉から変更なし。
本人をフィーチャーしたシナリオが、ナビ4人娘の中では最後になりそうなあたりも、奥ゆかしさを増したのだと言っておこう。

エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠