■オープニングフェイズ/シーン4 「たったひとつのさえたやりかた」
マスターシーン。GM:回る。回る。
GM:回る。回る。満月のように欠けのない、異形威容の車輪が回る。
GM:回転体に"こそげとられた"ホルテンの機体が、V機関の質量低減の影響下、ゆっくりと傾き、重力加速度を無視した低速で落ちていく。 GM:戦闘空域を覆う、対天使ミサイルの爆煙が、ゆっくりと晴れる。一個軍団のホイシュレッケが砕け散った、白い白い羽根が舞う。
GM:それを押しのけて、構造体に損傷を受けながらも、気にした様子もなく異形が出現する。
GM:高速で回転を続ける、金属質と白が入り混じった車輪。その差し渡しは百メートル近い。側面に連なる、何千何百という眼。
GM:典型的すぎる、座天使級天使兵(ガルガリン)の姿。 GM:向かい合うシュネルギア――ラケーテンは、満身創痍。
GM:両翼部の弾倉は空。ケルンは周囲の偏向率が観測し難いほど弱体。頑強な筈の装甲には無数の亀裂。駆動部からは黒煙がたなびく。 GM/座天使:「Serra...Serra...Serra...Serra...Serra...」 GM/ユウト:『……はは、ヤバいなー。今のでオチてないとすると、あとは残弾ごと機体をぶっつけるくらいしか』
GM/キリエ:『馬鹿なことを言わないで! 瑞穂基地に連絡は行っているはず。もう少し持たせれば……!』
GM/ユウト:『そうもいかないみたいなンだなあ、これが……向こう、止まってくれそうにないし』 GM/座天使:「Serra...Serra...Serra...Serra...Serra...」 GM:各所から煙を棚引かせ、回転速を増す百眼の車輪。結界に捻じ曲げられた大気は旋風になり、暴風になり。 GM/ユウト:『さっきはミサイル打ち込んで弾いたンだっけ。キリエさあ。オレたち、腕のミサイル使う時間、ある?』
GM/キリエ:『最初の突撃の五割出ていた場合、現状のラケーテンだと……発射前に捕まるわ』
GM/ユウト:『八方ふさがりか。困ったなあ。キリエとした約束、いくつ残ってたっけ』
GM/キリエ:『だから、馬鹿なこと言わないでッ! まだ、まだ何か手が……』
GM/ユウト:『……思いついた。なんとかしてみようか』
GM/キリエ:『え?』
GM/ユウト:『悪いけど、反応最速まで上げて。相談してるヒマ、ないわ』
GM/キリエ:『あ、わかった……ユウト、あなた』 GM:かすかな疑問を発し終えるより前に、座天使が動き出した。瞬きほどの時間で超音速に到達。
GM:キリエは反射的に入力系を調律し、――息の合った流れで、ユウトが、
GM:最後のコマンドを叩き込んだ。 GM/ユウト:『――ごめんな』
GM:シーンエンド。 |