■オープニングフェイズ/シーン1 「敗北の記憶」
シーンPC:鏡平。GM:1999年、7月5日。
GM:太平洋上――ヤシマ八門結界内、海上ギガプラント2号機近海。
GM:ヤシマ海軍ギガプラント防衛艦隊所属、空母「赤城」の甲板上。
GM:突如として防空警戒網が死に絶え、帝都との連絡が途絶え、本国に3発のミサイルが落ちたらしいという噂と共に出現したのは。
GM:夥しい天使の群れ。――ホイシュレッケたち。 GM:艦隊司令「敵戦力は絶大だ。我が艦隊は既に包囲され――撤退は望めない」
GM:艦隊司令「敵は合衆国十字軍、第7艦隊提督ノーマン・ベイカー中将の名で降伏を勧告している」
鏡平:「あらまぁ」
GM:艦隊司令「もちろん、守られる可能性はゼロだ。敵は天使兵だからな。――諸君らの奮戦敢闘を期待する。以上だ」
GM:状況は最悪だ。40年戦役の時でもこうは行かないだろう。
GM:言うなれば1945年5月の、第2次ロッキー会戦と同じ、戦いにもならない殲滅戦の宣告か。
鏡平:「とうとう、俺も年貢の納め時ってか。今まで一度も払ったこと無かったんだけどねぇ」
GM/天音:「なら、やることは1つだよね、――鏡平」(僚機から通信)
GM/天音:「死中に活。――敵の指揮官を、討ってやるわよ!」
鏡平:「おうおう、でも、心中だけはごめんだからな」
GM/天音:「そうね。――あたしも、遠慮しとく」 GM:それならば、と。ギガプラント防衛艦隊は鬼神の如き奮戦ぶりを見せた。
GM:この日のために用意された最新式の戦闘機、あるいは完全機械化兵たちは戦力を一点に集中。
GM:全滅に近い損害を出しながら、敵旗艦、改エンタープライズ級空母の喉笛に喰らいつくことに成功したのだ。 GM/天音:「――鏡平、ごめん。あたしも、ここまでみたい」
GM:ノイズの向こうから、もっとも信頼してきた相棒にして恋人、烏丸天音の声が、途切れ途切れに聞こえてくる。
鏡平:「はぁ? 冗談にしちゃ笑えないぜ」
GM/天音:「あの空母に、敵の司令官が――お願い、鏡へ」(爆発音)
GM:最後の僚機の反応が消えた。ホイシュレッケに、喰われたのだ。
鏡平:「……え? お、おい…」
GM:だが、戦友たちの執念が実ったのか。自機と改エンタープライズ級の艦橋を遮るものは、もはや何も無い――。
GM:濃密な対空砲火さえ、一瞬、途切れたこの機会こそ――。
鏡平:「………畜生が……」
GM/ベイカー:「な、何だあの敵機は! う、撃て、撃ち堕とせぇ!」
鏡平:「………畜生がぁ!!」
GM:ミサイルが踊り、改エンタープライズの甲板が次々と吹き飛ぶ!!
GM:あと一歩で、敵旗艦の艦橋を潰せる――!
GM:そう確信した時、鏡平の意識は千切れ飛んだ。
GM:最後に見えたものは、黒い人間戦車のシルエット。
GM:そして、見えるはずのない、でっぷり太った老提督の冷や汗交じりの嘲笑だった――。
鏡平:「ち、カッコつけてもここまでかよ。情けねぇ……」
GM/ベイカー:「は、はは、は! よくやったカノン! さすがは――」
GM:………………。
GM:…………。
GM:……。
GM:その後、八田鏡平少尉(この戦闘後、中尉に任官)は奇跡的にギガプラント2号機に漂着。
GM:7月7日、ヤシマ海軍第五艦隊所属の偵察機に回収され、九死に一生を得ることになる――。
鏡平:「あ…まね………」
GM:シーンエンド。 |