■オープニングフェイズ/シーン2 「闇夜に眠る者(1日目)」
シーンPC:刀真。GM/メイリィ:「――なにかこう、莫迦にされてるような気分アル」
GM:月を背に、その巫戯化た物体は浮かんでいた。
GM:つるりとした、卵を逆さに置いたような紡錘形。周囲には幾本もの翼が、放射状にふわふわと漂っている。
GM:シュネルギアで間近まで近づいても、まったく反応をしてこない。かといって、どこかへ攻撃をするでもない。
GM:ただ――シュネルギアの中でなお、否、ケルンを展開しているからこそ感じられる強烈なエーテル出力が、威圧をかけてくるだけだ。
刀真:「ああいや、でも僕らは偵察に来たわけで。……そりゃまあ、ここまで何もされないってーのも不思議だけどさ」
GM/メイリィ:「うー……なんかこう、逆にむずむずするアルね、これ」
GM:天使は黙して反応せず。
刀真:「……ううん」もやんもやん。
GM:メイリィは、どうもナビシートでぶんぶんかぶりを振って、
GM/メイリィ:「どっちにしろ、天使ならワタシたちの敵ヨ。何かやらかす前にやっつけるアルね」
刀真:「ん、おっけ。……うん、この感じなら反撃とかもなさそーだし」
刀真:軽い気持ちで、操縦桿を握り直す。
GM/メイリィ:「試シの勢いあまってやっちゃっても、これならきっとお説教はもらわないアル。夜も遅いし、ちゃっちゃと片付けちゃうネ」
刀真:「よし、それじゃ。……軽くぶち抜いてやりますか、っと」 GM:……しばらくお待ちください。
刀真:(待つ) GM/メイリィ:「何アルかこいつ。莫迦みたいにやわら硬いアル……それだけだけど」
GM:数分、ホイシュレッケなら一撃で叩き落す勢いでサンドバッグにし続けても、ケルンに阻まれてほとんど有効打になっていない。
刀真:「ああもう、ヒビ一つ入らないなんてどんなけ丈夫なのさ。……なんか僕もムカついてきた」
GM/メイリィ:「……こーなったら、ちょっと気を入れてブッ叩いてやるアル、刀真。ケルンの出力配分、腕のほうに回すネ」
刀真:「おっけ、まだ練習中だけど。アレならきっと、撃ち抜ける」
刀真:……防御にケルン回さないから、滅茶苦茶痛いのが難点だけどなあ、と。心の中でボヤき。
GM/メイリィ:「ん。じゃ、テストも兼ねて、頑張るネ。失敗したらあとでとっくん追加アル」ちょい楽しそうに。
刀真:「う、それは勘弁。―じゃ、いくよメイリィ!」
GM/メイリィ:「あいあいっ、アルっ」
刀真:少し距離を取り、高度を稼ぐ。意識は両の腕に。
刀真:「―――」瞑目は一瞬。視界にしっかと対主を捉えたなら、後は―
GM/メイリィ:「さん、ある、いー……」
刀真:「――いけぇっ!」ただぶつかるのみ。最大限の加速で、最小限の打点へと――。
GM:一撃。引き裂く空気の痛みを感じるほどの一撃は、強固なケルンを打ち抜いて、卵のような天使の外殻を粉砕した。
GM:異様に軽い感触。その瞬間――。
GM:亀裂の走った“卵”から、閃光が迸った。霊圧計が警告音を張り上げて振り切れる。
GM/メイリィ:「きゃ――――っ!?」
刀真:「あ、え……何、何だよこれ」
GM:刀真には何の違和感もない。ただ眩しいだけ。けれど、ナビシートの相棒は――。
刀真:「……駄目だ、退こうメイリィ! メイリィ!」正面を向いたまま、背後に呼びかける。それはいつもと同じだけども――。
GM:悲鳴を上げた後、反応がないのはどういうことか。見れば、ケルンの出力比が戻ることがなく、滑らかに高度が墜ちていくのはどういうことか。
刀真:「メイリィ! ケルンの出力比を通常に戻――」振り向き、叫んだ。叫んで――。
GM:鼓動で潰れる耳朶の中で、後方で控えていた戦闘機群が異常を察知して、通信機越しに何か叫んでいるのが聞こえたが――。
GM:力なく崩れている、メイリィの姿。控えめに見ても意識はなく――。
刀真:「―――!」相棒への呼びかけは、水面への衝突音に掻き消され。
GM:――あとは。回収されて基地のハンガーで目を覚ますまで、記憶は途切れる。
GM:シーンエンド。 |