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7月、
7月19日、月曜日、
家庭裁判所での修習が今日でおしまい。
家庭裁判所は少年事件と家事事件。
端的に言えば、コドモの刑事事件と親戚関係のトラブル。
普通の裁判とは違って、
かなり生活環境まで踏み込んで実質的に「正しい」解決を目指す。
司法機関として積極的に関与していくわけだから、
姿勢としては正しいけれど、日々限界に突き当たるわけである。
*
少年に出会って、わりと失望したことが多かった。
その中でも、自分なりにスジを通して生きていく少年に出会うこともあった。
*
自分がまだ小学校にも入らないくらいのころに、
両親が離婚、本人は父親に引き取られた。
普通の離婚事件での親権の争いにおいては、
比較的小さい子供は、母親に引き取られることが多い。
ところが、この母親は、外に男性を作り、
その人間を父親とする子を身に宿すことによって、
自宅を飛び出していった、
当時、その下にさらに小さい弟を持つ少年は、
父親とすごし、めんどうもありながらも、
それなりに懸命に生きていたのだと思う。
*
少年が思春期を迎える頃、
父親が癌で倒れ、闘病生活に入る、
その父親が働いていた会社の経営者の女性が、
事実上の後見人として二人の少年の面倒をみる、
*
父親は、そのまま、少年らのもとにもどってくることなく、
近親者を探し求めるものの、
父方の親戚は、父親と同じく癌で亡くなっているものが多く、
一番の血縁関係者である母親も、
新しい家庭においてすら、トラブルを作っているらしく、
すでに捨て去った過去の自分の子には、
全く関わりを持つ気はないということ、
その「母親」を非難するのは、別のこととして、
そこに少年らを預けることは、不幸を招くこととなり、
そうすることはできない、と判断される、
*
先に事実上親代わりとして、
二人に面倒を見ていた会社の経営者は、
その会社が非常に家庭的な小規模な企業であったこともあろうが、
父親が二人の少年をのこし、
心のこり、無念を遺していたことを
それから10年近くたった今でも鮮明に覚えているらしく、
家庭裁判所の後見人選定により、
親とされることとなった、
*
少年の弟は、まだ幼かったこともあり、
その後見人の家庭を、自分の家庭として、
比較的しっかりと育ってきた、
少年は、自分の実の父親の記憶も、
実の母親の記憶も、その内にもっているわけで、
その家庭を頼りにするしかないことを承知の上で、
どこか、そこになじめきれないものを覚えつつ、
若干の非行を経て、
児童自立支援施設で日々を過ごす、
児童自立支援施設は、収容されて自由を拘束される側面はあるものの、
基本的に、学校教育を施しつつ、自立を促す施設、
*
少年は、その家を飛び出すことになる、
怠業の傾向があるのは否定できないものの、
仕事をしつつ、自立への一歩をふみだす、
そのころ、実の弟からも疎まれ、
実際にはまた、身近な肉親がへってしまっていたわけだ、
*
少年は18歳になった、
後見人はその少年について、
その職を辞任したい旨を家庭裁判所に申し立てる、
20歳になれば、後見は終了する
*
実は、他には、後見人たる候補者はいない、
*
後見人は、少年らに支払われている遺族年金を
大切に保存しつつ、ここまできた、
当人に現時点でそのまとまった金銭を渡したならば、
瞬く間に、なくなってしまうことは、十分にわかる、
20歳まで自分が管理しつつ、
本当に自立した少年の元手として渡してやりたい、と、
父親の遺した少年らの唯一の財産だから、と。
*
少年が社会的に迷惑をかけることもある、
きちんと仕事をしないという面もある、
甘えられるべき存在をどこにも求められなかった
その少年が、どのように生きて行くべきなのか、
混沌としたなかで、
なにかを見つけだすことができないままに、
*
されど、
親に甘えきって、
何の困難もなく過ごして来ながら、
なおかつ贅沢をするために、非行をする少年とは、
まったく毛色が違う、
*
難しいことはたくさんあるけれど、
その少年については、
なんとか、運命がこれ以上、つらくあたらないようにと、
祈らせるような気分になる、
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